特集 ながれの電子出版について/城之内 忠正

それから,World Wide Webの登場によるインターネットの爆発的な普及期を迎え,Webページを記述するための言語であるHTML形式で文章を書くようになりました.コンピュータ環境の変化は速いもので,電子文書の作成に限っても,このような方向転換を繰り返しています.電子文書の作成方法に多少の違いはありますが,最も大きな相違点は,文書を保存する場合のデータ形式(フォーマット)です.例えば,ワープロを変えると新しいワープロでは古いワープロの文書データが読めなくなります.そのため古い文書を変換して新しいワープロで使えるようにするのですが,これは保存するデータ形式がワープロ毎に異るためです.電子文書のデータ形式を誤ると,文書変換のプログラムを調達してデータ変換しなければならないし,その時情報の一部が失われたりします.文書の電子化を考える場合にデータ形式をどうするかという点が最大のポイントといえるでしょう. 

本稿では,ながれの電子出版を念頭において,論文の電子化について,特にどういうデータ形式で投稿し・そのデータを管理し・論文を配布するのかという点について考えてみます.