2.実験装置および方法
2.2 データ処理
 撹乱の増幅特性を調べるには,各θ位置での最大振幅を追跡する必要がある.そこで,まず境界層方向の撹乱の振幅分布を調べ,次に振幅が最大となる高さでスパン(Y)方向の振幅分布の計測を行った.以下に示すスパン方向の振幅および位相分布は,すべて振幅が最大となる高さにおいて計測された結果である.なお,撹乱の振幅が最大となる高さは,C-F不安定とS-C不安定でほぼ同じである
 計測は人工撹乱の入力信号に同期して行い,各計測位置における速度変動波形<q>(θ,Y,Z,t)は1000回以上のアンサンブル平均より求めた(図4a).アンサンブル平均を行った結果,速度変動波形は正弦波と見なせることがわかった.すなわち<q>(θ,Y,Z,t)は,振幅A(θ,Y,Z)およびスピーカ入力信号を基準とする位相φ(θ,Y,Z)を用いて,以下の通り表せる.
   <q>(θ,Y,Z,t= A(θ,Y,Zsin(2πft-φ(θ,Y,Z),     ・・・・・ (1)
言い換えると振幅A(θ,Y,Z) は,速度変動<q>(θ,Y,Z,t)の波形を1周期にわたって重ね描きした場合の包絡線となる(図4b).
 また,この時間変動波形をスパン方向に並べた時空間分布から,各時刻tにおける空間波形を取り出すことが可能である(図4a).
(a) (b)
図4: 速度変動の時空間変化(a)と振幅分布(b).Λ=50゜,RQ= 0.26×106θ= 29 °,Z=1.3, f=440Hz .