5.分離された撹乱の特性
5.3  θ方向の変化
 撹乱の伝播特性を明確にするために,計測するθ位置を変化させた.t/T=0における空間波形,振幅分布および波面を図12に示す.
 その結果,まず,撹乱が楔状領域に分散していることが確認された.そして,2種類のモードがそれぞれ分散する領域は,点源から離れるに従って,分離されていることがわかる.つまり点源近傍では2種類のモードはほぼ重なっており,強く干渉し合うが,点源から離れた領域では2種類のモードが明確に分離されていることが確認される.
 空間波形の,山もしくは谷を連ねると波面が得られる.そしてそれぞれの波長および位相速度ベクトルが明らかになった.θ=29゜におけるMode1とMode2の波長λはそれぞれ4.8mm,4.9mmで,位相速度はともに2.1m/sであった.両者が非常によく似た特性をもつことがわかる.しかし,撹乱の伝播方向は大きく異なり,Mode1はΨ =120゜であったのに対し,Mode2はΨ =-36゜であった.波長と伝播方向から,コード方向の波数がMode1に対しては-0.27,Mode2に対しては-0.44と求められる.この値を分散関係式から求められると比較した結果,その差は10%以内で,よく一致していることがわかった.
 撹乱の波数や境界層方向の位相分布などの特性はすべてMode1がC-Fモード, Mode2がS-Cモードであることを示していた.そして得られた特性量は,一様流レイノルズ数が異なる条件に対する予測とよく一致した.この結果から撹乱の特性はレイノルズ数や計測する位置に敏感には依存していないことがわかった.
図12: 分離された撹乱のθ方向変化.波形(a),振幅分布(b),波面および位相速度ベクトル (c).
Λ=50゜, R Q= 0.26×106Z=1.3, f =440Hz .