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6 まとめ

実験により求めた液滴の固有振動数と, 数値計算により求めた液滴の固有振動数の比較を行った結果, よく一致した値が得られた. このことより,本研究で使用した非粘性線形モデルの妥当性が確認できた. 液滴の中に仮想的な粒子を入れその時間発展を観察した結果, 実験で確認された3つの軌跡を再現した.

また液滴の中に置かれた粒子に振動を加える際, 振動の与え方によって流体粒子が描く軌跡が大きく変化することが確認できた. 実現される軌跡の違いは微妙な振幅の与え方によって生じていることが明らかになった. 往復運動や4重渦の軌道を描く場合には, 非軸対称振動$ m=2,3$のパラメーター$ A^m$$ B^m$, $ C^m$$ D^m$の振幅がともに同じ値になっている(振幅の組合せII,V,VII,X). 一方,流体粒子が回転運動をする場合, $ A^{m}$$ B^m$$ C^m$$ D^m$の振幅に異なる値を与えた場合である (振幅の組合せI,III,IV,VI,VIII,IX). 実験結果をより定量的に再現するためには, 3次の非線形効果を考慮して振幅方程式を導出する必要があるが, これは今後の課題である.

マーカー粒子濃度の時間変化を観察することにより,混合現象を起すためには, 軸対称振動と非軸対称振動の混合振動においても 非軸対称振動同士の混合振動においても 回転運動の軌跡を描く振幅の組合せを加えたときに, 粒子が最も広範囲に広がる. また,振幅を大きくするほど濃度の減少は短時間で起ることが見い出された.


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鈴木, 高橋, 宮嵜, 青山