付録 B. 解析手法 [prev] [index] [next]

付録 B.1 コンポジット解析

赤道上の降水イベントに伴う循環場の特徴を明らかにするために, 降水量のピークに準拠したコンポジット解析を行う. コンポジット解析とは, ある条件に合致した複数の事象を抽出し, その集合に平均等の操作を加えることにより, その特徴的な性質を際立たせようとするものである. ここでは赤道上の降水ピークをキーにして, その経度が重なるように各物理量を東西方向に平行移動させて重ね合わせて 平均をとることにより, 赤道上の降水にともなう特徴的な循環構造を明らかにする. コンポジット解析の手順は Numaguti and Hayashi (1991) と同様である. 参照とする降水量のピークの選択の仕方は次の通りである.

  1. ある時間における赤道域 の降水について閾値を越える点を抽出する.
  2. 抽出した点を中心にしたある東西幅において 抽出点の降水量が最大であった場合には, この抽出点をコンポジットの参照点とする. この操作の各時間, 各抽出点に対して繰り返す.
  3. 循環場の各量のデータを 参照点が中心に来るように 東西に平行移動した上で足し合わせていき, 平均を取る.

閾値としては 0.0007 [kg m-2 s-1] をとり, 降水量の最大を定義する東西幅は約 2000 km をとった.

 

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