C. モデルの詳細

3 次元灰色大気構造の太陽定数依存性と暴走温室状態 B.c. 放射量上限値の相対湿度依存性 C.b. 放射計算スキーム

a. 基礎方程式

基礎方程式として, 3 次元球面プリミティブ系を用いる(詳しくは Numaguti and Hayashi (1991), 沼口 (1992)を参照されたい). 水平方向には緯度・経度座標tex2html_wrap_inline6248, 鉛直方向には tex2html_wrap_inline6250 系を用いる. 運動方程式, 連続の式, 静水圧の式, 水蒸気の式, 熱力学の式, 地表面 のエネルギーバランスの式は次のようになる.


       eqnarray386

ここで,
\begin{eqnarray*}
\DD{}{t} & \equiv & \DP{}{t} 
 + \frac{u}{a \cos \varphi} \DP{...
 ...\DP{}{\sigma} \\  \Phi & \equiv & gz, \\  \pi & \equiv & \ln p_s.\end{eqnarr
ay*}

u, v は水平風速, tex2html_wrap_inline6256tex2html_wrap_inline6250 座標における鉛直速度, T は温度, q は比湿, ps は表面気圧, Tg は表面温度, $\Phi$ はジオポテンシャルである. f はコリオリパラメータ, a は惑星半径, g は重力加速度, R は大気 の気体定数, cp は大気の定圧比熱, L は水蒸気の潜熱である. $F^{diff}_{\lambda}$, $F^{diff}_{\varphi}$, $F^{diff}_{T}$, $F^{diff}_{q}$ は水平拡散項, Fuvdf, Fvvdf, FTvdf, Fqvdf は鉛直拡散フラックスである. Sqcond は凝結による比湿ソース項, Cg は表面の比熱であり, 実際には 0 とする. qrad, qvdfT, qvdfq はそれぞれ表面の正味放射フラックス, 顕熱フラックス, 潜熱フラックスである.

各パラメータの値は表 1 に示すものを用いた. 水蒸気の吸収係数 $\kappa_v$ については, Yamamoto (1952) の図 2 に おける 1000 cm-1 での値を参考にして決定した. L, p0* は Nakajima et al. (1992) と同じ値をとった.

table528
表 1: 計算で用いた諸量の値.

飽和蒸気圧は, Nakajima et al. (1992) と同様
\begin{displaymath}
p_v^{\ast}(T) = p^{\ast}_0 \exp \left( - \frac{L}{RT} \right) \end{displaymath}
で与えられるものとする.


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