E. 平衡状態の大気構造

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j. 南北エネルギー輸送量

図 1 (a), (b) にはそれぞれ実験 S1380, 実験 S1570, 実験 S1200 における 乾燥静的エネルギー輸送量と潜熱エネルギー輸送量を示した. 太陽定数が増大するに従いエネルギー輸送量は増大していることが わかる. 特に高緯度領域においては, 潜熱エネルギー輸送量の増大が顕著である. 太陽定数増大時には, 南北潜熱エネルギー輸送の増大・高緯度における 凝結加熱の増大が起きており南北温度差の減少と調和的な結果になって いる.

エネルギー輸送の内訳を見てみると, 高緯度における潜熱 輸送の増加分は主として擾乱によってもたらされていることが わかる. これから, 太陽定数増大におけるエネルギー輸送の増大には 擾乱による潜熱輸送がかなり貢献していることが示唆される. 各実験におけるエネルギー輸送の内訳の詳細に関しては 実験 S1380 における南北エネルギー輸送, 実験 S1570 における南北エネルギー輸送, 実験 S1200 における南北エネルギー輸送 を参照されたい.

(a) figure35
(b) figure35
図 1: エネルギー南北輸送量. (a) : 乾燥静的エネルギー南北輸送量, (b) : 潜熱エネルギー南北輸送量. 紺色の線が実験 S1200 の結果を, 緑線が実験 S1380 を, オレンジ色の線が実験 S1570 の結果を表す. 単位はいずれも W.

上記で参照した静止画のリスト


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