E. 平衡状態の大気構造

E.k. 擾乱の特徴

実験 S1570 における降水分布時間変化

実験 S1570 において, 緯度 40 度付近で最も活発 な擾乱は赤道域で発生し中緯度に移動してくる渦状擾乱である. 例えば, 1008 日目に緯度 15 度, 経度 220 度付近に存在する擾乱は 1012 日目には緯度 25 度, 経度 260 度に, そして 1016 日目には 緯度 40 度, 経度 315 度に移動する. その後は更に高緯度側に移動しほぼ緯度 60 度に沿って東進し, 1026 日 目に消滅する. 緯度 40 度付近の降水のほとんどはこのような擾乱によってもたらされ ている. ここでは図は示さないが, この擾乱は渦状の構造を持っており現実の地 球において対応物を求めるとすると「台風」が一番近いと思われる. また 60 度よりも高緯度の領域に注目すると緯度幅にして 100 度にも渡 るような広い降水帯が存在する. この降水帯は東進し10 日から 20 日の寿命を持つ. 傾圧不安定によって発生していると思われるが, 循環構造の解析をおこ なっていないので現在のところ断定はできない.

figure35
動画 1: 実験 S1570 における降水分布時間変化. ほぼ平衡に達したと思われる状態で 16 日間の降水分布の時間発展を 示したもの. 単位は W/m2.


実験 S1570 における降水分布時間変化 E.k. 擾乱の特徴