凝結物の重力分離 Index Next

地球の雲対流では、水蒸気が凝結して雲になったあと、 ミリメートルのオーダーの直径に成長する結果、重力分離 して雨や雪として地上に降ってくる。
その効果はどうなるだろうか?


reverse.gif (62253 バイト)
図2:凝結物の重力分離が起こらない場合と起こる場合の温度変化

パーセルの熱力学的可逆性

まず、凝結しつつあるパーセル(気塊)に注目しよう。 (ここでは凝結はパーセルの上昇で生じるとする。)

この際、放出される潜熱のため、パーセルの温度は 凝結が生じない場合の断熱温度変化 (気象学用語では「乾燥断熱温度勾配」)よりも 小さな割合(気象学用語では「湿潤断熱温度勾配」)で低下する。
ここまでは、凝結物の重力分離の有無には余り依らない。しかし下降運動においては:

という重要な相違が生じる。


パーセルの浮力

「分子量効果」の節で調べたパーセルの浮力の議論では凝結物を無視した。凝結物を考慮すると、 再び重力分離の有無によって:

という違いが生じる。


落下した凝結物の運命

凝結物の落下は、鉛直方向に離れた気塊の間に時間・空間的に遠隔的なコミュニケーション を生じさせる。

もとのパーセルから脱落した凝結物が下方に位置する別のパーセル中に落下して:

という結果が生じる。


水平平均した熱・物質の収支

凝結物の重力分離の有無によって、水平平均してみると:

という相違が生じる。

現実に、地球大気の熱帯における鉛直熱輸送は:

のサイクルであり、重力分離=雨の生成が本質的に重要である。


凝結物の重力分離 Index Next