補遺A : 線型論による流れのレジーム 回転系における対流のレジームの遷移と水平スケール:2次元数値計算

この補遺では, 中立曲線上での流れのバランスを調べ, 線型論において流れのレジームの遷移が どのようなテイラー数で生じるかを求めることにする. 方程式系 (34)〜(38) を 基本場のまわりに線型化すると, 温度 T, 渦度の鉛直成分ωv/ , および 2 に対する式を導くことができる:

(43) 式の右辺はそれぞれ, 粘性項, コリオリ項, 浮力項に由来するものである. 圧力傾度項は浮力項にほぼ対応する. ここで, 定常状態を仮定して, スリップ境界条件のもとで,

と波状の解を仮定すると, 次式が得られる:

この式の各項は, (43) 式の右辺の各項に対応している. Rak 2 に対して極小となる場合が臨界モードであり, 臨界波数, 臨界レイリー数はそれぞれ次のように求まる:

coshφはすでに, (2) 式で与えられている. コリオリ項と浮力項の比は, (45) 式の第2項と第3項の比によって与えられる. この比に (2), (46), (47) 式を用いて変形すると,

となる. これが 1/2 になる場合を 粘性レジームから地衡風レジームの遷移点と考えると, coshφ/3=5/2 となる. 対応するテイラー数は, Ta = 2630 である.


補遺A : 線型論による流れのレジーム 回転系における対流のレジームの遷移と水平スケール:2次元数値計算