結論 仮想粒子密度とボリューム・レンダリングによる流れの可視化 二つの渦輪の干渉 仮想粒子密度とボリューム・レンダリングによる流れの可視化

 

ベクトル場を粒子追跡法によって粒子分布に置き換え,粒子に仮想的な密度を与えることで仮想粒子密度というスカラー場に写像した。 仮想粒子密度の特徴的な部分を明示することにより,ベクトル場がもつ全情報量から解析に重要な部分を抽出する試みを行った。 三次元における特定領域の存在位置を明瞭にするために,ボリューム・レンダリングを利用した。

提案した方法によって,三次元物体の後流や渦の相互作用を可視化した結果,実験におけるトレーサーの密度の濃淡が表現でき,渦核等の特徴的領域の抽出が可能となった。 また,動画化により動的な構造を表現した。 

本可視化法は流れ場の詳細な解析に必要な特徴ある部分を確定し,不要な情報を隠蔽し,解析者の受容可能な大きさまで情報を圧縮することに役立つはずである。 しかしながら,現時点では定性的な可視化手法であることは否めない。 定量性を追求するためには実験との対比を行うことが重要である。 このためには実験・観測における光学系の模倣すること,粒子の物性の効果を加味すること等が必要である。

提案した方法で得られる可視化図は,スカラー場を視線方向に積分し,ある色に写像した結果として得られる。 このため,この手法を用いて微細な構造を調べるには多階調の表示装置が必要となり,紙という媒体では表現が難しく,特に可視化プロセス全体の効率面が問題となっていた。 マルチメディアの応用により効率面が改善され,流れ場の解析を支援する手法となりうるものと思われる。

結論 仮想粒子密度とボリューム・レンダリングによる流れの可視化 二つの渦輪の干渉 仮想粒子密度とボリューム・レンダリングによる流れの可視化