はじめに (1) -背景 熱フラックス固定境界条件での回転円筒内の熱対流 熱フラックス固定境界条件での回転円筒内の熱対流 はじめに (2) -目的
ブシネスク対流は惑星あるいは天体内部の流体運動, 例えば大気や惑星・天体内部の循環, を考える上でもっとも簡単なモデルとして精力的に研究されてきた. 古くから研究されていて有名なものは, いわゆる Benard 対流と呼ばれる非回転系で 温度を境界で固定した場合の対流である. この状況では 水平・鉛直スケールが同程度の対流セル が生じることが良く知られている.

回転系における対流は, 特に地球物理学・天文学の立場から 天体内での対流運動に関連して研究されて来ている. Nakagawa and Frenzen (1955), Chandrasekhar(1961) らは 回転軸が鉛直方向を向いた系の下で 温度固定境界条件を用いて線形論により考察し, 室内実験を行なっている. その結果は, 回転が大きくなるにつれて 臨界状態の対流セルの水平スケールが小さくなることが 示されている.

一方で, 熱的境界条件を変えると対流の構造が 大きく変わってしまうことが非回転の場合に良く知られている. Jakeman (1968) は, 熱境界条件を熱フラックス固定とすると 水平スケールの大きな対流セルが出現することを 線形論で示した. 有限振幅の場合においても 弱非線形論 (Chapman and Proctor,1980) や 数値計算(Hewitt et al.,1980 ; Ishiwatari et al.,1994) にて 横長の対流セル が出現することが示されている.

このように, 熱境界条件が熱フラックス固定条件であることと 回転系であることとは, 対流セルの大きさに関して相反する効果を与える. しかしながら, 熱フラックス固定境界条件での回転系の熱対流の 研究はほとんど行なわれていない. そのような研究の唯一の例は Dowling (1988) である. 彼は回転軸が鉛直方向を向いた系において, 水平波数 k を小さいと仮定して漸近展開を行ない, 変分法を用いて対流の臨界状態を考察している. その結果は, 回転の強さを表すテイラー数が小さければ, 水平スケールの大きな対流が臨界状態として出現するが, テイラー数が大きくなると水平スケールの大きな対流が臨界状態として出現しなくなる, というものであった.

(a) 温度固定条件

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(b) 熱フラックス固定条件

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図1 非回転系の対流パターン


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