粉体層上の動摩擦係数測定実験とその流体力学的考察

比較実験

次に、前節で示した典型的な実験に対して幾つかの条件を変えた比較実験を行った。以下にその目的と変えた条件を列挙する。実験に用いた円盤は直径140mm、質量1.01kgのものである。また、比較実験の条件の一覧(表1)では、主要な結果にまとめた実験の条件を条件 I とした。

まず、粉体の種類による違いを調べる為に、片栗粉・ケイ砂を用いて、実験を行った(表1:条件 II-1)。ただし、ケイ砂に関しては、散布装置でふんわりと撒くことができなかったので、手でならした後2.5mm〜3mmに擦り切った。

粉体の空隙率の変化による影響を調べるために、粉体層を圧縮した状態で実験を行った(表1:条件 II-2)。圧縮は鉄パイプをローラーの様に用いて行った(動画 4)。尚、ケイ砂はふんわり撒く事ができない為、この比較は行わなかった。

円盤の底面の状態の影響を調べるために底面状態を変えて、実験を行った(表1:条件 II-3)。小麦粉・片栗粉は底面状態がSの場合、底面に粉が付着するが、Mの場合には付着しない。ただし、ケイ砂は、底面状態に関わらず、底面へ付着しない。

次に粉体層の下にある滑走板の影響を調べる為に、滑走板の上にトタン板を敷き、その上に粉体を撒き同様の実験を行った(表1:条件 II-4)。この実験は小麦粉のみ行った。ベニア板には、小麦粉が付着するがトタン板には付着しない。

表1:比較実験の条件一覧注目すべき条件を強調して示してある。円盤は直径140mm、質量1.01kgのものを用いた。底面状態における記号の意味は以下の通りである。
  S:滑走で用いる粉体をスプレー糊でつけ乾かしたもの
  M:滑らかな金属表面のもの

粉体 粉体の圧縮 底面状態 粉体層の下部

条件 I 小麦粉 非圧縮 S ベニア板

条件
II-1
片栗粉 非圧縮 S ベニア板
ケイ砂 - S ベニア板

 条件
II-2
小麦粉 圧縮 S ベニア板
片栗粉 圧縮 S ベニア板

条件
II-3
小麦粉 非圧縮 M ベニア板
片栗粉 非圧縮 M ベニア板
ケイ砂 - M ベニア板

条件
II-4
小麦粉 非圧縮 S トタン板



動画
4 小麦粉層の圧縮の様子。

粉体層上の動摩擦係数測定実験とその流体力学的考察