対流セルの水平スケール (2) -対流速度の見積もり 大陸プレートの影響により引き起こされるマントル対流の水平セルサイズ 対流セルの水平スケール (1)

このシナリオを確かめるために, 先の境界層理論をもとにして理論的に水平速度を見積もり, レイリー数に対して uhu,u' の大小関係を調べてみる.

鉛直対流としての水平速度は境界層理論により与えられる. プレートの外側で形成される流れの x 方向の 速度の大きさ u は,  
  u = \left( \Dinv{2 \sqrt{\pi}}\right)^{\frac{2}{3}}\left[ ...{a^{7}}{(1+a^{4})^{2}} \right]^{\Dinv{3}} Ra^{\frac{2}{3}}, (10)
プレートの下での水平速度 u' を見積もるには, (10)において (8) の Ra' を用いればよい. プレートがない場合および全表面をプレート覆った場合の 数値計算の結果 と比較した結果, 実際に (10) を用いて流速を見積もる際には $\pi$ で割った値を用いることにする.

プレートによって形成される水平方向の温度差が引き起こす流れ uh は 定常状態の運動方程式を満たしているとする.
0 = Ra \DP{T}{x}+ \Dlapla \Dlapla \psi. (11)
(11)を z で微分して ${\displaystyle u=-\DP{\psi}{z}}$ を用いると
\Dlapla \Dlapla u_{h} = Ra \DP{}{z}\DP{T}{x}. (12)
温度差 $\Delta T$$\Delta T = T_{cp}-T_{c}$とし, (5), (9) を用いてレイリー数の関数としてあらわす. 対流セルの鉛直方向のスケールを Lz=1, 水平方向のスケールを Lx とすると,  
  u_h =\left(\Dinv{L_x^2}+1 \right)^{-2}\frac{\Delta T(Ra)}{L_{x}} \cdot Ra. (13)
この式を用いて数値的に値を求めるときには, 温度場と流線関数が $\sin(\pi x/L_x)\sin(\pi z)$ の形で表されることを考慮して $\pi^2$ で割った値を用いる.


対流セルの水平スケール (2) -対流速度の見積もり 大陸プレートの影響により引き起こされるマントル対流の水平セルサイズ 対流セルの水平スケール (1)