降水量分布の アンサンブル平均 目次 結論

結果 (つづき)

地表面気圧分布のアンサンブル平均

図4 (アニメーション) は赤道における地表面気圧の時間-経度断面がアンサンブル実験の試行回数を増やすことによってどのように変化するかを示している.

図4: 赤道における地表面気圧 (hPa) の経度-時間断面図. アンサンブル実験の試行回数を 1, 2, 4, 8, 16, 32, 64, 128, 200 と 増やしていった結果をアニメーションで示す. 時間軸 (単位: 日) は暖水域導入時刻を 0 日目とする.

試行回数を増加させてゆくにつれて以下のような特徴がみられるようになる. これらの特徴は試行回数をあげてゆくとより明瞭になる.

1試行
暖水域 (横軸「18」のところ) 上で気圧の低い傾向がみられる. それとはかかわりなく東向きに伝播する擾乱が存在しており, 東西非対称性は判別できない.
2試行
4試行
暖水域の西側で高気圧傾向, 東側で低気圧傾向になっているのが見えてくる.
8試行
16試行
暖水域の東側への低気圧偏差の伝播が明瞭になる.
32試行
以下では上記の傾向がしだいに明瞭になってゆく.
64試行
128試行
200試行

32試行平均以降では, 暖水域導入後30日以降で「西側で高気圧偏差, 東側で低気圧偏差」傾向が確立し, Hosaka et al. (1998) の長時間平均の観察結果と整合的な地表面気圧分布を示すようになる.

暖水域導入直後から東側に低気圧偏差の伝播がみられるが, 西側での高気圧偏差は 30 日目以降で確立し, その時点から西向きに伝播しているように見える. より詳細な解析によって暖水域の西側での高気圧偏差の形成過程を明らかにすることができるだろう.


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