■ 第25回数値流体力学シンポジウム趣旨
本シンポジウムは,「数値流体力学」が文部省の重点領域研究に指定されたことを記念して1987年に第1回が開催されて以来,今回で25目を迎えます.第1〜3回は文部省重点領域研究「数値流体力学」実施グループが組織した実行委員会,第4〜5回も引き続きそのグループを中心とする組織委員会によって運営されました.その後,1992年の第6回から新設された日本数値流体力学会,日本流体力学会と日本数値流体力学会の融合に伴い,2002年の第16回から日本流体力学会が20を超える学協会の協賛を得て主催し,現在に至っています.この間,理学・工学の流体力学分野で数値シミュレーションにかかわる研究者・技術者に対して既存の学問領域の枠を越えた交流の場を提供するという当初の目的は一貫して引き継がれ,12月後半に当該分野の関係者が一堂に会する恒例行事として定着しています.
今年度,第25回数値流体力学シンポジウムを大阪大学コンベンションセンターで開催いたします.このたびは,25回目という節目である以上に,社会環境の急激な変化に対応した重要なシンポジウムになりそうです.本年3月の東日本大震災とそれに続く東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連して,防災技術の確立やインフラ強化の必要性が強く指摘されました.まだ実現されていない構想,発生してはならない最悪の事態などを扱う唯一の手段として,数値シミュレーションの自立性・信頼性にはさらなる向上が求められます.一方,6月には,第26回国際スーパーコンピューティング会議ISC’11(ドイツ)にて第37回TOP500リストにおいて,理化学研究所と富士通が共同開発中のコンピューター「京」が第1位を獲得するという朗報がありました.この快挙により,国内の高性能計算機およびネットワークへの波及効果も大いに期待され,数値流体力学を取り巻く環境も確実に変わろうとしています.
第25回では,講演募集のセッション構成を大幅に変更しました.第1回をふり返ると,普通講演117件の大半は計算方法か物理モデルの名称を冠したセッションに割り当てられていました.その後,発表件数や応用分野が著しく拡大し,最近は新しい計算方法や物理モデルも各領域のセッションに分散されて提案される傾向が見受けられます.原点回帰というわけでもありませんが,分野横断的に基礎的な知見の情報を交換する本来の趣旨を思い出し,加えて前述のような新たな環境変化に対応することを意図して,オーガナイズドセッションを「物理モデル」「計算スキーム」「CFDの展開」「計算機とCFD」に再編しました.数値流体力学にかかわる研究者・技術者が最新の情報を交換する場として,日本流体力学会をはじめ関連学協会から積極的な研究発表と参加をお待ちしています.
シンポジウム内容
特別講演
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3件程度
講演発表
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数値流体力学に関する研究発表