特集 ながれの電子出版について/城之内 忠正

SGML(Standard Generalized Markup Language)とは1986年に制定された構造化文書を記述するための国際標準規格です.何十年にもわたって電子文書を保存しておくために,タグと呼ばれる文字列で文章に印をつけて,文書構造を記述したものです.つまり,文章(文字列)の中に,段落や節等の構造を指示するタグが埋め込められた文書となっています.結果として,文字列だけからなる文書であるため,文書交換や文書管理に用いられました.(より正確には,SGMLはマークアップ言語を作るための親となる言語であり,独自のタグを定義できます.)
Webで使われているHTMLはSGMLのサブセットとして開発されたものですが,リスト1のようなタグを使ったマークアップになっています.

 
<H1>HTMLのタグについて</H1>
<IMG SRC="image.jpg">
<UL>
<LI>タグは大文字・小文字が無視される
<LI>タグは閉じなくてよい
</UL>
リスト1 HTMLの例

リスト1では「HTMLのタグについて」という表題を<H1></H1>という見出しタグによって印をつけています.HTMLのタグはSGMLのように独自のタグを自由に定義できないのですが,タグで文章に印をつけるだけでホームページが作れるという点で単純でした.このため,ホームページ(コンテンツ)を作る人が多くなり,豊富なWebコンテンツを見るために多くの人がインターネットにアクセスするという具合に,インターネットは急速に普及しました.HTMLに対してSGMLは複雑な言語仕様だったのであまり普及していません.