付録5. 数値実験の詳細

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付録5-5. 3本並列モデルの実験結果の詳細と考察

図9でわかるように,定常状態になるの解は空間内で3次元の広がりを持って枝分かれしているが,そのうちの平面内にある枝を抜き出したものが図26である.OF上の点がであり,点Aと点Bでとなる解(AC3とBC3)ととなる解(AD3とBD3)に分岐していることがわかる.図9図26のブーメラン様の枝をOFを軸に3つ組み合わせたようになっていて,点E3から他の2つのブーメラン上の点C1,C2へつながる解の分岐が存在し,E1,E2からもそれぞれC2とC3,C3とC1へ向けて枝分れしている.また,図9はOFを軸とした回転に対して対称であり,平面へ射影すると二本並列モデルの解,図7の分岐図を得る.

図 26. 平面内の分岐

flow1,flow2,flow3の対称性より,図26のそれぞれの分岐と,E3C1上の解について安定性を調べれば十分である.

初期値をOAの近傍の点a1(0.60,0.50,0.40)とAC3の近傍の点b1(0.30,0.31,1.10),c1(0.39,0.40,3.89)で表される状態を与えると,それぞれOA上の点a2(0.40,0.40,0.40)とAC3上の点b2(0.26,0.26,1.19),c2(0.32,0.32,4.04)で表される点で平衡状態になり(図27a,b,c),E3D3の近傍の初期状態h1(3.90,3.89,0.40)から始めた場合もE3D3上のh2(3.94,3.94,0.31)で平衡状態になる(図28h).

また,BC3の近傍の点d1(0.99,1.00,3.85),e1(1.79,1.81,2.31)で表される状態はE1D1上の点d2(0.24,2.80,2.80),e2(0.25,2.83,2.83)へ,BD3の近傍の点f1(2.30,2.29,1.80),g1(3.85,3.84,0.98)で表される状態はBF上の点f2(2.13,2.13,2.13),g2(2.89,2.89,2.89)へ移る(図27d,e,f,g).

AE3近傍の点i1(1.51,1.50,0.23)はAC1上の点i2(2.76,0.24,0.24)へ移り(図28i),AB近傍の点j1(0.99,1.00,1.01),k1(1.51,1.50,1.49)はそれぞれAC3上の点j2(0.24,0.24,2.53),E3D3上の点k2(2.135,2.135,0.23)へ(図28j,k),E3C3上の点l1(2.306,1.80,0.226),m1(3.849,1.00,0.284)はE3D3上の点l2(2.0515,2.0515,0.229),m2(2.4495,2.4495,0.234)へと移る(図28l,m).

これらのことから,安定な解はOA,ACn,EnDn,BF上にあり,AB,AEn,BCn,BDn,EnCm上の解は不安定であると考えられる.ここでAC1,AC2,AC3をまとめてACnと表記(AEn,BCn,BDnも同様)し,E1D1,E2D2,E3D3をまとめてEnDn,またE1C2,E1C3,E2C3,E2C1,E3C1,E3C2をまとめてEnCmと書いた.

図 27. 3本並列モデルの数値実験結果(1)
a: 初期の流速をOA近傍の状態()=(0.50,0.40,0.30)で与えると,OA上の状態(0.40,0.40,0.40)で定常になる.(=0.40)
b: 同様にAC3近傍の初期状態b1(0.30,0.31,1.10)からAC3上の定常状態b2(0.26,0.26,1.19)へ.(=0.57)
c: AC3近傍の初期状態c1(0.39,0.40,3.89)からAC3上の定常状態c2(0.32,0.32,4.04)へ.(=1.56)
d: BC3近傍の初期状態d1(0.99,1.00,3.85)からE1D1上の定常状態d2(0.24,2.80,2.80)へ.(=1.947)
e: BC3近傍の初期状態e1(1.79,1.81,2.31)からE1D1上の定常状態e2(0.25,2.83,2.83)へ.(=1.97)
f: BD3近傍の初期状態f1(2.30,2.29,1.80)からBF上の定常状態f2(2.13,2.13,2.13)へ.(=2.13)
g: BD3近傍の初期状態g1(3.85,3.84,0.98)からBF上の定常状態g2(2.89,2.89,2.89)へ.(=2.89)

 

図 28. 3本並列モデルの数値実験結果(2)
h: E3D3近傍の初期状態h1(3.90,3.89,0.40)からE3D3上の平衡状態h2(3.94,3.94,0.31)へ.(=2.73)
i: AE3近傍の初期状態i1(1.51,1.50,0.23)からAC1上の平衡状態i2(2.76,0.24,0.24)へ.(=1.08)
j: AB近傍の初期状態j1(0.99,1.00,1.01)からAC3上の平衡状態j2(0.24,0.24,2.53)へ.(=1.00)
k: AB近傍の初期状態k1(1.51,1.50,1.49)からE3D3上の平衡状態k2(2.135,2.135,0.23)へ.(=1.50)
l: E3C1近傍の初期状態l1(2.306,1.800,0.226)からE3D3上の平衡状態l2(2.0515,2.0515,0.229へ.(=1.444)
m: E3C1近傍の初期状態m1(3.849,1.00,0.284)からE3D3上の平衡状態m2(2.4495,2.4495,0.234)へ.(=1.711)

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