4. 計算結果: ダストのある場合   c. 対流場の様子 up previous next
4.c.i. 対流の強度

まず熱伝導層の厚さとそこでの温位差を (2), (4) 式から評価してみよう. 対流の駆動に関係する日中の CO2 の赤外放射加熱量と顕熱加熱量の合計は約 20 Wm-2 (図 12f 参照) である. 計算された乱流拡散係数の大きさはダストのない場合と同程度 (〜 15 m2sec-1) であった (図 12b). これらを用いて (2) 式から計算される熱伝導層内の温位勾配は -0.1 Km-1 である. この値は図 14に示した計算結果と整合的である. このとき を与える (4) 式は以下のようになる.


これより 〜 60 m, 〜 6 K となる (計算結果は < 50 m, 〜 3 K). ダストのない場合のそれぞれ見積もりと比べると, はほぼ同じで, は 2 K 小さい.

対流プリュームの持つ温位偏差を (5) 式から見積もる. 図 14 より熱伝導層の厚さ を約 40 m, 熱伝導層の温位差 を 3 K とする. 対流層の厚さ は 5000 m とする. 乱流拡散係数の大きさはダストのない場合と変わらないとする (〜 15 m2sec-1). (5) 式からプリュームの持つ温位差は,


となる.

図 14: 高度 1 km 以下の水平平均温位の鉛直分布. ダスト巻き上げ後 6 日目 LT = 14:00 の結果.


2次元非弾性系を用いた火星大気放射対流の数値計算
Odaka, Nakajima, Ishiwatari, Hayashi,   Nagare Multimedia 2001
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