4. 計算結果: ダストのある場合   b. 平均場の日変化 up previous next
4.b.iii. 水平・時間平均の加熱率分布

図 12d はダスト巻き上げ 6 日目の水平時間平均した温位に対する加熱率の鉛直分布である. 日中の高度 2 km 以上の放射加熱は主にダストの太陽放射吸収によるものである. 日中の対流加熱の大きさと地表付近の対流冷却層の厚さは ダストのない場合とほぼ同じある. 夜間は計算領域全体にわたりダストと CO2 の赤外放射冷却を受ける.

図 12d に示した放射加熱分布をその成分ごとに示したのが 図 12e である. CO2 の近赤外放射加熱の分布は計算領域全体にわたり鉛直一様である. ダスト混合比が鉛直一様な対流層では, ダストによる放射加熱の分布は鉛直にほぼ一様である. これらの成分は対流層全体をほぼ一様に加熱するため, 対流を抑圧する方向に働く. 対流の駆動に関係する放射加熱の成分は地表付近に集中した鉛直加熱分布を持つ CO2 の赤外放射である.

図 12d: 水平時間平均した温位に対する加熱率の日変化. ダスト巻き上げ 6 日目の結果. 単位は K/day. 橙は対流による加熱, 赤は赤外放射加熱, 青は太陽放射加熱, 緑は乱流拡散による 加熱, 明るい紫は散逸加熱. 下段は高度 1 km 以下の拡大図. 図 12e: 水平時間平均した温位に対する放射加熱率の日変化. ダスト巻き上げ 6 日目の結果. 単位は K/day. 赤は CO2 の赤外放射加熱, 紫はダストの赤外放射加熱, 青は CO2 の近赤外放射加熱, 水色はダストの太陽放射加熱. 下段は高度 1 km 以下の拡大図.


2次元非弾性系を用いた火星大気放射対流の数値計算
Odaka, Nakajima, Ishiwatari, Hayashi,   Nagare Multimedia 2001
up previous next