E. 平衡状態の大気構造

E.j. 南北エネルギー輸送量

実験 S1200 における南北エネルギー輸送量

実験 S1200 では乾燥静的エネルギー輸送量の方が 潜熱エネルギー輸送量よりも大きくなる (図1 a とb). 乾燥静的エネルギー輸送については, 実験 S1380 の場合に比べて輸送 量の値は小さくなるが, その内訳はほとんど同じである. 潜熱エネルギー輸送は,大気中の水蒸気量が非常に減少するため 実験 S1380 の場合に比べておよそ 1 桁小さい. 緯度 20 度を境にして低緯度帯では赤道向きへの水蒸気輸送が 高緯度帯では極向きへの水蒸気輸送が明瞭にあらわれており全輸送量で 見れば 2 つのピークが存在している. 実験 S1380 と比べてみると 赤道域における子午面循環成分が顕著になっている. このような違いが発生する理由については残念ながらまだよく解析され ていない.

  (a) figure1(a) (b) figure1(b)

図 1: 実験 S1200 における南北エネルギー輸送. (a): 乾燥静的エネルギー輸送. (b): 潜熱エネルギー輸送. 赤線が全輸送量, 青線が平均子午面循環による輸送, 緑線が停滞性擾乱による輸送, 薄茶線が移動性擾乱による輸送を表す. 単位はいずれも W.

実験 S1200 における南北エネルギー輸送量 E.j. 南北エネルギー輸送量