粉体層上の動摩擦係数測定実験とその流体力学的考察

岩屑なだれ

岩屑なだれとは大規模(総体積で106m3以上 )で高速(速いもので150m/s)な山体の崩壊現象である(宇井, 1987; Takarada et al, 1999)。火砕物が山麓に流下、堆積する現象には、他に火砕流、泥流などがあるが

  1. 火砕流はマグマ起源の本質物質を主体とする高温の流れであるのに対して,岩屑なだれは基本的には本質物質を含まない類質・異質物質からなる非高温の流れである。
  2. 火山泥流は水を媒体とするのに対して,岩屑なだれは谷を流下した際には数%の水を取り込むが飽和することなく、水が媒質としてその挙動に本質的な役割を果たさない。

などの違いがある。

岩屑なだれ堆積物の特徴としては、一般的に

  1. もとの山体構造を残している大型の岩塊(岩屑なだれ岩塊:debris avalanche block)とそれを取り巻く淘汰の悪い粉粒体状のマトリックス(岩屑なだれ基質:debris avalanche matrix)とからなる。
  2. 上記の反映である起伏に富んだ地形(流れ山)を示す。
  3. 見かけ摩擦係数が低い。
  4. 大規模なものほど見かけ摩擦係数が低い(ボリューム効果)。

などが挙げられる(宇井, 1987)。