右図は, 対流セルの縦横比の限界の見積もりに対して,
超大陸の水平スケールを示している. 全マントル対流を考えた場合, 流体層の深さ (2900km) に対する 超大陸の水平方向の大きさ (約20000km) は 7 程度である. 大陸プレートの厚さはテクトスフェアまで含めると 平均して 200km から 300km であると推測されているので(Jordan, 1975) d=0.1 程度で良いだろう. 全マントル対流のレイリー数はおよそ 106 から 107 と推測されている(本多, 1997). したがって, プレートの存在が引き起こす水平温度差が引き起こす 対流セルはプレートと同程度の大きさになりえるので, プレートの端をまたぐ対流セルの上昇流が 大陸プレートの中央に形成される可能性がある. 一方, 上部マントル対流の状況では, 上部マントルの深さ (670km) に対する超大陸の水平方向の大きさは約 30, ユーラシア大陸程度の大きさでも約 15 である. 大陸の厚さは d=0.3 程度である. レイリー数はおよそ 6x104 から 6x105 と推定されている(本多, 1997). したがって, どちらの大陸を考えてもアスペクト比 10 程度までの 対流セルしか形成されない. したがってこの場合, 大陸の端をまたぐ対流セルの上昇流は大陸プレートの中央には形成されず, 大陸プレートの端寄りに形成されることになる. |
図:対流セルの縦横比の限界と 超大陸の水平スケールの関係. |