付録A1-補助格子を利用した粒子密度算出の手続き
付録A1-補助格子を利用した粒子密度算出の手続き 仮想粒子密度とボリューム・レンダリングによる流れの可視化 仮想粒子密度とボリューム・レンダリングによる流れの可視 付録A2-補助空間利用の粒子密度算出(CIC)

補助格子を利用した粒子密度算出の手続き

 

時間 tn に位置 (xl , yl , zl ) にある粒子l は,いずれかの格子セルに含まれている。 この粒子から粒子密度を計算するためには,粒子に仮想的な質量と分布を与えることが必要である。 密度分布は計算上の技巧に留まらず,実験結果との比較のためという意味で,より現実に近い可視化を行うために必要となることもある。 密度分布を持たせることによって格子セルの頂点に対しての寄与が計算できるが,一般に格子セルは直方体ではないので頂点に対する寄与を正確に求めることは容易でない。 そこで各方向に等間隔に離散化された粒子密度算出のための補助的な空間を用意し,この空間で粒子密度を計算する方法を考える。 補助的な空間の左下の座標を (xs , ys , zs ) ,右上の座標を (xe , ye , ze ) とし,空間の刻み幅を (Δx , Δy , Δz )とする。 すなわち,補助的な空間は各辺の長さが Δx , Δy , Δz の微小直方体セルによって分割されているものとする。 これらのセルの頂点は指標空間 (i, j, k) によっても表される。あるセルの

8頂点は(i, j, k), (i+1, j, k), (i+1, j+1, k), (i, j+1, k), (i, j, k+1), (i+1, j, k+1), (i+1, j+1, k+1), (i, j+1, k+1) で構成される。 これを (i, j, k) の補助セルと呼ぶことにする。  指標空間上の位置 (ξl , ηl , ζl ) を以下のように定める。

最も簡単な粒子密度計算法は,NGP(Nearest-Grid-Point)法[7]の利用である。 つまり,最近接点に質量そのものを与え,積算質量を体積 (ΔV = ΔxΔyΔz) で割ることで,仮想粒子密度が求められる。 仮想粒子密度 ρ(il , jl , kl ) は,プログラム的表記を用いれば,

で計算される。 ここで, int(f ) f を超えない整数を表すものとする。 式(A1),(A2)によって,仮想粒子密度を求めるためのNGP的な方法が構築できる。 NGP的方法は高速であるが,結果として得られる密度分布には多数の極値が存在することが多く,特徴領域を識別するという目的には適さない場合がある。 これはNGP法が粒子自身のもつ密度分布を考慮していないためである。

  

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