はじめに (4)
はじめに (4) 仮想粒子密度とボリューム・レンダリングによる流れの可視化 はじめに (3) 仮想粒子密度法 (1)

 

このように従来法によってベクトル場を効果的に可視化するためには,流れ場の特徴をあらかじめ知った上で粒子のグループ化や発生点の工夫など粒子追跡自身を操作した可視化法を選択する必要がある。  著者が知る限り,どんな場合にも使える汎用的な方法はない。 一方,計算結果を可視化する目的の一つは,可視化によってその流れ場の特徴ある大規模構造を見つけることである。 大規模構造とは,具体的には薄く広がった面構造や粒子の集中しているような部分と考えられる。 渦核等で観測される粒子の集中部分を抽出する方法が見つかれば,情報の圧縮としても有用である。 

そのような領域を探し出すために仮想粒子密度という概念を導入し,仮想粒子密度を可視化することによって流れ場の構造を調べるという方法を提案する。 具体的には,はじめにベクトル場をスカラー場である仮想粒子密度に写像し,スカラー場から特徴領域を抽出することで不要な情報を省くわけである。 この操作によりオリジナルの粒子分布は変化を受けないということが重要である。 スカラー場の特徴領域抽出法としては等値領域表示が優れているが,二次元等値領域表示法を三次元に拡張することは難しい。 そこで,三次元的な可視化を行うためにボリューム・ビジュアリゼーションを利用する。 

第2節で仮想粒子密度を求めるための具体的な手順を示す。 第6節において,粒子の拡散効果を含めた可視化法を提案する。 第3,4,5,7節で球および回転楕円体を過ぎる流れ場,回転する偏心二重球内の流れ場,二つの渦輪の干渉に対する仮想粒子密度による可視化結果を示す。

 

はじめに (4) 仮想粒子密度とボリューム・レンダリングによる流れの可視化 はじめに (3) 仮想粒子密度法 (1)