特集
 マルチメディア論文の書き方

京都大学大学院人間・環境研究科 飯澤 功

1. 「紙でいいじゃん」にならない為に

もしも、貴方が「マルチメディア論文ってヤツは、これまで出来なかった事がいろいろできそうだし、投稿してみたいけど、いろいろ面倒そうだなあ」と思っているとするなら、かなり現状を的確に把握していると言えましょう。

ながれマルチメディアの現編集体制では、紙の論文では気を遣わなくてもよかった作業の幾つかを投稿者が行わねばなりませんし、表現の自由度や機能が増える結果、それらを効果的に使う手法について考える必要が生じます。もし、これらのことをオロソカにすると、マルチメディア論文のマルチメディアたる部分が欠落し、結局「こんなんなら、紙でいいじゃん」ということになりかねません。

この手の面倒は、新しいコンピューターソフトを購入した際に、そのソフト独自の機能を使う面倒と同じ類のもので、入門書一冊で解決する程度のものです。しかし、マルチメディア論文は、それほど世間に浸透しているわけではないらしく、残念ながら書店に「マルチメディア論文の書き方」というような本が並んでいるわけではありません。

そこで、本稿では、入門書がわりに、ながれマルチメディア98の編集作業を通じてオボロゲながら見えてきたマルチメディア論文の特徴を生かすコツ、そして実際に編集作業に用いたソフトに関する説明をまとめてみます。