特集 ながれの電子出版について/城之内 忠正

2.デジタルメディアへの流れ

学会誌の目的は,学会活動の成果の記録や,その学問分野の普及というこになります.その学問分野の発展と継承という役割を担っているわけです.15世紀に活版印刷が発明されて以来,文化は紙というメディアに記録されて流布し,それらを編集して新しい知識が加えられてきたと言えるでしょう.紙というメディアは読むために特別な道具も必要なく,読み易く正確であり,出版されると多くの場所に分散されるため,永続的に記録が残るわけです.人類の知識は膨大な書物や文献に蓄積されてきたわけであり,その意味で文化を継承するのは紙メディアだったのです.

ところが1940年代に電子計算機が発明され,ほぼ同時期に情報の意味が発見された結果,人間の知識(情報)をビットという単位で記録し,そのデジタル情報を高速に処理するコンピュータが誕生しました.この結果,人間の知識をデジタルで記録し,編集できるようになりました.