特集 ながれの電子出版について/城之内 忠正

「どういうデータ形式で保存するか」は大きな問題です.ワープロデータを保存すると文書フォーマットの非互換の問題にぶつかるのは前にも述べたとおりです. 大抵のワープロは機能の拡張と称して,バージョンアップを繰り返しますが,残念なことにデータを保存するフォーマットを変更してしまいます.その結果,やや古いバージョンのワープロ文書が新しいワープロソフトで読めなくなってしまうことがあります.数年で読めなくなるというフォーマットは,学術論文としての永続性という点で不適格です.何十年経過しても必ず読めるという意味では,その目的で考え出されたマークアップ言語が最も適しているといえます.つまり,文字(テキスト)しか含まない文書なら,特別なソフトは必要なく,普通のエディタで表示や編集ができるわけです.PDFのようなバイナリデータは表示のために特別なソフトが必要ですし,データを検索したりするのにも向かないので,保存のためのデータ形式には向きません.