特集 ながれマルチメディア ―― 学会電子化への実験/酒井 敏

欧米の学会で、このような動きは私の知る限りありません。おそらく、これは、欧米の学会が雑誌を売ることに商業的に成功してしまっているため、このような構造転換をしにくい事情があるものと思います。しかし、先に述べたように、ネットワーク時代では、このような「情報を売る」ビジネスモデルが行き詰まることは、ほぼ間違いないでしょう。 

幸か不幸か日本の学会で雑誌の販売が商業的に成功しているところはほとんどありません。しかし、これを逆手に取れば、欧米の学会に一歩先んずることも可能です。ネットワーク上では学会の規模は関係がないのです。ここは、日本の学界が世界をリードするまたとないチャンスではないかと思います。