結論
円管内に収縮部が存在し、収縮部下流の管壁よりbleedingがある場合の収縮部下流の流れ場と壁面圧力分布について、数値解析により各パラメータの影響を調査した。今回行った調査パラメータは、流量比Qb/Q、bleedingと再付着点との位置関係および収縮部と下流円管との直径比d/Dの3つであった。壁面圧力分布への影響は十分下流におけるbleedingによる壁面圧力損失にて評価を行った。は、bleedingが無い場合の壁面圧力から、bleedingがある場合の壁面圧力とbleedingによる流量増加に伴う管摩擦損失を差し引くことにより求めた。
以下に得られた知見をまとめる。
1.流量比Qb/Qの影響
- Qb/Qは収縮部下流の流れ場に大きく影響を及ぼしていた。特に収縮部下流のはく離の様子に与える影響は大きく、Qb/Q=0ではbleeding流路内に渦が見られ、Qb/Q=0.1では収縮部下流のはく離渦とbleeding下流の渦と2つ確認された。また、Qb/Q>0であれば、bleedingから流れ出た流体は管壁に沿って流れるため、収縮部から流れ出た流体は管壁に再付着することはなかった。
- Qb/Qはに大きく影響を及ぼしていた。Qb/Qの増加に伴い、はほぼ直線的に増加した。これは、Qb/Qの増加によりbleeding内の流速が増加したため、収縮部からの流れとbleeding内の流れとの衝突に伴う損失の増加によると考えられる。
2.bleedingと再付着点との位置関係の影響
- bleedingが再付着点の上下流のどちらに位置するかによって、収縮部下流の流れ場は大きく影響を及ぼされていた。bleedingが再付着点の上流に位置した場合、bleedingははく離内にあるが、bleedingからの流れの一部は上流へと逆流した。しかし、下流に位置した場合、bleedingからの流れは全て下流へと流れた。後者の場合、収縮部から流れ出た流体はbleeding上流の管壁に再付着した。よって、収縮部下流のはく離流れとbleedingによる流れは全く切り離された状態となり、両者とも影響を及ばさなかった。
- bleedingと再付着点との位置関係はに大きく影響を及ぼしていた。bleeding位置が収縮部出口に近づくに伴い、は増加した。つまり、bleeding位置がはく離内にある場合の方がは大きい。bleedingが無い場合におけるはく離内では圧力回復が生じているはずであるが、bleedingによりその下流で逆流が無くなり圧力回復が生じなくなった。よって、bleeding位置が収縮部に近づくに伴い、圧力回復領域が小さくなり、が大きくなった。
3.収縮部と下流管との直径比の影響
- 直径比d/Dは収縮部下流の流れ場に大きく影響を及ぼしていた。d/Dを小さくするとbleedingから上流へ逆流する流量は増加する。しかし、d/Dの増加に伴い、再付着点は上流へ移動し、bleeding位置が再付着点の下流となるため、その場合は前節の結果のようにbleedingの流れは全て下流へと流れた。
- d/Dはに大きく影響を及ぼしていた。d/Dの増加に伴い、は増加した。d/Dが増加すると再付着点が上流に移動するため、結果的にbleeding位置ははく離内の外になる。しかし、は前節の結論と逆になった。これは、d/Dの増加に伴い、収縮部からの流れと管壁との距離は短くなり、故に収縮部からの流れとbleedingからの流れの干渉が強くなったと考えられる。
3つの影響について、を小さくするためには、右表のように、Qb/Qを減少、S/Dを増加、d/D減少させると良い。
以上の結果を踏まえて、収縮部内レイノルズ数Redによる流れ場及び壁面圧力分布の相似性について検討した。Redをパラメータとして、下流の無次元量を固定させた。
Redを3種類変化させて、流れ場および壁面圧力分布を比較した結果、相似性が確認された。
・Qb/Q ・L/(d・Red) ・S/(D・Red) ・d/D ・B/(D・Red) ・y/(B・Red)