3. 計算結果: ダストのない場合 up previous next
3.d. 対流の強度 (1)

図 7: 高度 1 km 以下の水平平均温位の鉛直分布. ダストのない場合. LT = 14:00 の結果.


対流にともなう風の大きさは (1) 式のように対流層の厚さとプリュームの持つ温位偏差で決まる. ここでは対流プリュームの温位偏差がどのように記述されるかを考察する.

図 4 (左上) の対流プリューム発生の様子から, プリュームは熱境界層内の熱的不安定によって生じていると考えられる. したがってプリュームの持つ温位偏差はおおままに言えば熱境界層 の温位差に対応していると考えるのが自然である. 図 7図 3a (右側) の高度 1 km 以下の拡大図である. これををよく見ると, 熱境界層はその温位勾配の違いからさらに 2 つの領域に分けられる. 1 つは高度 50 m 以下にある鉛直温位勾配が非常に大きい領域 (乱流拡散による熱伝導層) で, もう 1 つは高度 50 m から高度約 400 m までの温位勾配が比較的滑らかな領域 (遷移層) である.


2次元非弾性系を用いた火星大気放射対流の数値計算
Odaka, Nakajima, Ishiwatari, Hayashi,   Nagare Multimedia 2001
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