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6. 結論
非定常な傾斜サーマルの流動特性を明らかにするため,k -ε 乱流モデルを用いて数値解析を行った.解析の比較対象には福嶋ら(1999)の塩水サーマルの実験,福嶋ら(1999),福嶋・今田(2000)の硫酸バリウムを用いたサーマルの実験の結果を用いた.
サーマルの流下速度,最大厚さの比較より,数値計算の結果は実験結果をよく再現できた.また,傾斜角の違いによって,流下速度,最大厚さ,最大濃度,総浮力の流下方向の変化特性が異なることが良好に説明できた.
流速ベクトルと等濃度線を描くことで,傾斜角が異なることにより,サーマル周辺の流動特性あるいは混合特性が若干異なること,サーマルの形状が大きく異なることが計算された.この理由は傾斜角が異なることで密度成層の効果が異なるためである.
このように今回の範囲の傾斜角であれば,渦拡散係数について特別な工夫をしなくとも(例えばTurner(1979)),標準のk -ε 乱流モデルでも傾斜壁面サーマルの特徴を再現できることがわかった.
以上のように,塩水による保存性傾斜サーマル,硫酸バリウム粒子による非保存性傾斜サーマルの両者について,傾斜角の違いによる傾斜サーマルの流動特性の変化を乱流モデルを用いた数値解析で明確にできた.
特に非保存性サーマルでは粒子の沈降速度がそれほど大きくない場合を考え,輸送方程式として乱流拡散法的式を用いたが,粒子の沈降による粒子総量の減少,粒径の違いによる最大濃度の減少率の違いを表現可能であることがわかった.
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