凝結条件の定量的扱い Index Previous

まず、凝結を伴わない断熱的な圧力変化の過程における 凝結成分の蒸気圧の温度依存性は、次のように求められる。 凝結成分が微量であることに注意すると、 鉛直運動に伴うパーセルの圧力変化によって生じる温度変化は、 熱力学第一法則

0 = cpn dt - V dp (3)

と理想気体の状態方程式

pV = RnT (4)

より、非凝結気体の熱力学量だけによる量として

\begin{displaymath}

\frac{dp}{dT} = \frac{c_{pn}p}{R_{n}T}\end{displaymath} (5)

と求まる。 凝結が起こらなければ成分の変化は無いので、 パーセル中の凝結成分の分圧

\begin{displaymath}

p_{v} = \frac{m_{n}}{m_{v}}q_{v}p\end{displaymath} (6)

についても同様の関係

\begin{displaymath}

\frac{dp_{v}}{dT} = \frac{c_{pn}}{R_{n}T} p_{v}\end{displaymath} (7)

がなりたつ。これは

\begin{displaymath}

L^{c} \equiv \frac{c_{pn}}{R_{n}} R_{v} T \end{displaymath} (8)

とおくと、

\begin{displaymath}

\frac{dp_{v}}{dT} = \frac{L^{c}}{R_{v} T^{2}} p_{v}\end{displaymath} (9)

と書ける。

一方、凝結成分の飽和蒸気圧の温度依存性は Clausius Clapeyron の関係

\begin{displaymath}

\frac{dp_{v}^{sat}}{dT} = \frac{L}{R_{v} T^{2}} p_{v}^{sat}\end{displaymath} (10)

により質量あたりの凝結の潜熱 Lと関係付けられる。

上の二つの式を比べると、飽和条件の近傍 ( pvpvsat ) において L > Lc ならば温度下降(すなわち上昇運動)に伴い飽和に到達して 凝結が生じ、一方、逆に L < Lc ならば下降運動に伴い凝結が 生じることがわかる。


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Kensuke Nakajima
1/31/1998