はじめに (1)
はじめに (1) 仮想粒子密度とボリューム・レンダリングによる流れの可視化 仮想粒子密度とボリューム・レンダリングによる流れの可視化 Next

 

流れ場,特にベクトル場の可視化手法として,粒子追跡という考えは数値計算,実験を問わず数多く用いられてきている。 粒子追跡は,また,可視化のみならず,計算手段や物理現象そのものを表現するものとして利用されている。 MAC法にみられる自由表面を追うためのマーカー粒子,ラグランジェ乱流の構造,ラグランジェ移流を用いた物質撹拌(得られた流れ場からの二次的な処理の場合も含めて),混層流の計算等に応用され,その有用性も広く認識されている。 CFDにおける流れ場の可視化に着目すると,粒子追跡法は,質量等の物理的な特性を持たせずに仮想的な粒子を追う仮想粒子追跡法と,重力,拡散,壁面での応力の効果等を粒子属性に加えた一般的な粒子追跡法に分けられる。 後者は実験での可視化結果の比較とその再現を考えた場合に用いられる。 その場合でも,粒子は質点として扱われ混層流の計算のように流れ場への粒子の影響を考えることは少ない。 いずれの方法も以下の粒子の運動方程式が基本となる。

ここで,v は粒子速度,f   は粒子に加わる単位質量あたりの力,x は粒子の位置である。 仮想粒子とした場合は,ベクトル場を一般的な b とし,微分をパラメータ空間(s)で表現した次の方程式を扱うことになる。

(3)式は自律または非自律の力学系の表現でもある[1]。 オイラー的計算法を用いた結果の可視化にこの方程式を用いる場合は,いかに効率的に仮想粒子の存在する格子セルを見つけるかという計算幾何の問題とセル内の補間法としてどのようなものを適用すればよいかという可視化の精度に関する問題が生じる。 構造格子の場合について効率的に格子セルを求める方法は文献1を,補間法の違いによる誤差の可能性については文献2を参考にしてほしい。

 

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