境界層理論 (2) -プレート下の流体の温度 大陸プレートの影響により引き起こされるマントル対流の水平セルサイズ 境界層理論 (1) -プレート下の対流 境界層理論 (3) -数値計算との比較

先の水平平均温度構造の模式図のように プレートの底の温度を Tp, プレートの下の流体内部温度を Tcp, プレートの外側での流体内部温度を Tc とする. 流体層内部温度は  
  T_{cp}=\frac{T_{1}+T_{p}}{2} (5)
である. プレートの下の流体内部温度 Tcp を求めるには プレートの底の温度 Tp がわかればよい.

プレートの下の流体層に対して境界層理論を応用すると (Turcotte and Schubert 1982),  
  Nu' = \left(\Dinv{2 \pi^{2}}\right)^{\Dinv{3}}\left(\frac{a^{2}}{1+a^{4}}\right)^{\Dinv{3}} Ra'^{\Dinv{3}}, (6)
となる. ここで, ' はプレートの下で定義されることをあらわしている. a は対流セルの水平スケールである. 境界面で温度と温度傾度が連続であることから
T_{p} = \left. \DP{T}{z}\right\vert _{z=b-d} \cdot d (7)
プレートの下ではプレートの厚さ分だけ流体層が薄く 1-d であり, かつ, 流体層の上面温度が プレートの底の温度 Tp であるので, レイリー数 Ra' は 流体層全体のレイリー数 Ra を用いて  
  Ra' = Ra \cdot \left( \frac{T_{1}-T_{p}}{T_{1}-T_{0}}\right) \left( 1-\frac{d}{b} \right) ^{3} \ (8)
と表される. これらを用いると プレート下の温度 Tp と レイリー数 Ra の関係式が  
  \frac{T_{p}}{(T_{1}-T_{p})^{\frac{4}{3}}} = \left(\Dinv{2 ...{a^{2}}{1+a^{4}}\right)^{\Dinv{3}}Ra^{\Dinv{3}} \tilde{d}, (9)
とあらわされる. (9)より, レイリー数を与えれば プレートの底の温度 Tp が求められる. さらには, プレート下の流体層内部温度 Tcp = (T1+Tp)/2 と プレートの存在によって生じる 理想的な状態での水平方向の温度差 $\Delta T = T_{cp}-T_{c}$ が求められる.


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