特集 マルチメディア論文の書き方/飯澤 功

5. 図・動画はどうするか

 一つの図の中に、線の種類(実線・破線など)を変えて様々なグラフが同時に書いてあるのをよく目にします。また、従来の紙の論文では、実験結果の比較などで、同じ軸を持つようなグラフを幾つも見せたい場合、並べて配置していました。マルチメディア論文ではこれらに変わる表現が可能です。

 もし、軸が同じグラフを幾つも見せたいときは、空間的に並べずに
・Animation GIF を用いて時間的に見せる
という方法を用いることができます。アニメーションだからといって、表示させる結果も時間変化するようなものでなければならない、なんてことはありません。例えば、数値実験の結果であるなら、あるパラメータを時間方向にとってアニメーションさせればいいのです。人間の目(脳?)は案外賢く、それぞれの図にちゃんとパラメータを書き込んでさえあれば、時間的に変化するグラフを、そのパラメータによる変化と認識してくれます(図2)。



図2
グラフのアニメーション。ポイントは各フレーム(アニメーションのコマ)にパラメータを書き込むこと。パラメータの表示は視覚的にわかりやすくする為にイラスト(例えば、温度が変わるなら温度計)を用いるのも手です。


 また、細かいことですが、Jpeg・Gif・Animation Gif形式の画像はHTMLにそのまま表示させますが、動画を直接HTMLに埋め込む統一的な方法は無いため、AVI・Quick Time・Mpeg形式などの動画は、そのファイルへのリンクを張るのみにします。動画ファイルにリンクを張る際は、そのリンク先が動画であることを示すアイコンを表示させるか、リンク先の動画の1フレーム目を静止画像として表示させておくとよいでしょう。