付録4. 負性抵抗と電気回路

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図3のような負性抵抗が現れるシステムとしては,エサキダイオード(トンネルダイオード)やサイリスターなど,半導体素子を用いた電気回路が知られ,電子工学の分野でよく調べられている.負性抵抗素子の電流−電圧特性には図19に示すように二つのタイプがあり,それぞれN型負性抵抗,S型負性抵抗と呼ばれる.N型負性抵抗を持つ均一な半導体に電圧を加えると均一な電場がかかって電流が流れるが,その電圧の値が負性抵抗領域にある場合は不安定になり,わずかな不均一性や擾乱により高電場領域と低電場領域ができる.また,S型負性抵抗を持つ半導体の場合も同様に負性抵抗領域では不安定で,高電流密度領域(フィラメント)と低電流密度領域が現れる(図 20.).

図 19. 負性抵抗素子の電流−電圧特性
縦軸が電流密度,横軸が電圧.
(a):N型負性抵抗.エサキダイオードなどはこのタイプ.
(b):S型負性抵抗.サイリスターなどはこのタイプ.
E.Shl: Nonequilibrium Phase Transitions in Semiconductors (Springer,Berlin,Hekdelberg 1987) p.5より

 

図 20.  高電場ドメイン(a)と電流フィラメント(b)の略図
(a):N型負性抵抗では高電場領域と低電場領域ができる.
(b):S型負性抵抗では高電流密度領域と低電流密度領域ができる.
E.Shl: Nonequilibrium Phase Transitions in Semiconductors (Springer,Berlin,Hekdelberg 1987) p.6の図を改変.

図3の特性曲線を圧力差を横軸,を縦軸にとって書き直すと,この負性抵抗は図19の(b)に相当し,図2の一次元モデルを並列に束ねれば,半導体のS型負性抵抗素子で電流フィラメントができるのと同じように非一様な流速分布を持った流れが現れることが予想される.


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