はじめに (1) -背景 目次 目次 はじめに (2) -目的

回転する球および球殻内の対流は 太陽および木星型惑星大気や惑星流体核の流体運動などの 天文学あるいは地球物理学的な応用として 古くから研究されてきている. 球および球殻が高速に回転しているときに 生じる対流の構造を調べた研究で先駆的なものは Busse によるものである(e.g. Busse 1970). 彼は漸近展開の手法を用いて高速に回転する球の内部に 発生する臨界対流の構造を求めた. その結果は回転系においては回転軸方向に一様な運動が卓越するという いわゆるテイラープラウドマンの定理が当てはまるものであり, 回転軸方向に伸びた 2 次元的な対流渦が 球の中程に局所的に発生することを示した.

しかしながら最近の数値計算によって, 臨界対流の構造は Busse の描いた模式図のように対流渦が必ずしも局在していない ことが示された(Zhang and Busse 1987, Zhang 1992). プランドル数が大きい場合には, Busse の模式図のような 局在したテイラー柱型の対流が出現するが(columnar convection), プランドル数が小さくなるとともに動径方向に対流渦が広がりを持ち, らせん状のパターン(spiralling-columnar convection)が現れることが示された.

らせん状の対流構造の数学的な記述は Busse の漸近理論の見直しをすることによって試みられている (e.g. Yano 1992, Jones et al, 2000).

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図 : テイラーカラム型とらせん状対流の模式図. 赤青の線で描かれた柱は回転軸方向にそろった 2 次元的な渦運動を表している. 色の違いは渦の向きを表している.


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