4.まとめ
 
 
典型的な三次元境界層の一つである回転円盤流中に強い局所撹乱を導入し、その発達と乱流遷移の様子を調べ以下の結論を得た。

撹乱は波束へと成長し、その中央付近から乱流へと遷移する。

その結果、層流境界層中に孤立して存在する三日月型の乱流塊が形成される。

乱流塊は円盤の回転と逆方向、かつ半径方向外側に移流しながら成長する。

その際、前縁と外縁はほぼ一定の速度で移動するが、内縁と後縁の移動速度は時間の経過とともに遅くなる。

乱流塊の外縁側には半径方向外側に向かって伝播する流線曲率不安定波が、内縁側にはそれとは逆方向に伝播する横流れ不安定波が付随し、本実験のレイノルズ数では乱流塊の発達とともに増幅する。

撹乱の発達の初期段階では計測の空間分解能の制約から、不安定波の波面を明確にとらえることができていないため、どちらの不安定性が乱流遷移に寄与しているのか不明である。