付録4. データ取得および処理法の補足
 
データ取得法
Lingwood(1996)が指摘するように回転円盤流中の波束型撹乱の発達を追跡し、かつその構造を解明するには、撹乱を与える時刻における撹乱孔と計測プローブの周方向距離Dfを細かい間隔でずらして計測分解能を高めること、および半径方向にも細かく計測することが必要である。Lingwood(1996)の論文には詳細に示されていないが、使用されている図から判断すると彼女はDfを0°〜360°の範囲において10°〜30°間隔で変化させているようである。彼女は結局ft が同時に変化する系列データを、ある時刻におけるf系列データ、またはあるf位置における時系列データに変換し直す事はしていない。また、半径方向にはレイノルズ数に換算してDR =12〜15間隔で計測している。

本実験では半径方向にはR =256〜527の範囲をDR =6.75の等間隔で計測したが、撹乱孔と計測プローブの周方向距離Dfは0°〜360°の範囲をDf=7.9°の等間隔で変化させる場合と、Df=1.59°の等間隔で変化させる場合の二通り行った。前者はすべてのR に対して、後者は特定のR に対してのみ適用された。本文中図7のみが後者に該当し、他の図面はすべて前者の計測データから描かれたものである。前者の計測手法によって得られたデータからf-R 平面における等値線図を作成する場合にはf方向、R 方向ともそれぞれ5倍のデータ点数になるようスプライン補間を行った。後者の計測手法の場合には何ら補間を行っていない。このようにして得られたデータを時系列データ、あるいはf系列データに変換すると、時間方向にはDt/T =0.0044、周方向にはDf=1.59°(0.0088p rad)の分解能を有する。

データ処理法
円盤が回転しながらわずかに振動するため、付図1aに示すように得られた速度のアンサンブル平均値は円盤の回転周期で振動する。これを除去するため人工撹乱を与えないときの速度の集合平均値<V +v >に移動平均を施し、移動平均速度<V >movと純粋な変動成分<v >に分離した(付図1a,b)。ここで改めて<V >movを基本流の速度とみなした。したがって<V >mov =V であり、人工撹乱のあるなしにかかわらず瞬間速度をV +v と表せる。移動平均を行う際の平均点数は計算点の前後各200〜500点を用い、レイノルズ数が増すほど平均点数を多くした。
人工撹乱を与えたときの瞬間速度から撹乱のない時の移動平均速度V を差し引くと瞬間速度変動v が得られる(付図1c)。v より式(1),(2)に従って速度変動の集合平均値<v >(付図1c)および、乱れ強さの集合平均値<v ' >(付図1d)を求めた。
付図1 データ処理