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: 5. 統計量による解析 : 4. 結果 : 4.1.3 秩序渦構造の変化

4.2 循環の弱い秩序渦($\alpha =13$)

6は秩序渦$\alpha =13$の 渦度 ${\mathbf \omega}=\nabla\times
{{\mathbf u}}$の等値面の時間変化であり、閾値には ${\mathbf \omega}$の各時刻での空間全体の二乗平均 $\omega_{\mathrm rms}(t)$の4倍を取る。

図6: エンストロフィーの時間変化($\alpha =13$) (動画をはじめるときは上のグラフをクリックしてください)。

計算開始後に秩序渦近傍でワーム構造の巻き付きが見られるが、 $\alpha =40$の場合と比べ非常に早い段階(投入直後)から秩序渦の変形が始まり、 構造が維持されている時間は短いことがわかる。このために 初期状態で秩序渦があった場所にエネルギーが供給され、 周辺の乱流微細渦構造が活性化される。 微細渦は$\theta$方向へと揃えられて延長が見られるものの、 $\alpha =40$の場合の様に異方性は強くは現れず、秩序渦は支配的な振舞いはできない。このためRDTによる描像は適用できず、 $\omega_{\theta}$成分の成長も見られない。

秩序渦構造の寿命も大変短いことが $\omega _z$の断面図からも知ることができる。 図7$t/T=5.2$のときの秩序渦の$\omega _z$の 水平断面におけるカラーコンターを$z=0$から$2\pi$の範囲で連続して 可視化したものである。 断面の位置$z$の変化させても、中心部を特定できるほどに$\vert\omega_z\vert$は集中しておらず、秩序渦は崩壊していることがわかる。

図 7: $\alpha =13$における$\omega _z$の断面の変化(動画)、$t/T=5.2$において断面を$z=0$から $z=2\pi $まで移動したもの。コンターの範囲は $[-0.3,1.7]\max_r\left\langle{\omega_z}\right\rangle (r)$に相当。 動画をはじめるには上のグラフをクリックしてください。



Naoya Takahashi 平成14年9月17日