7.まとめ
 後退した付着線近傍領域において横流れ不安定波と流線曲率不安定波を分離して,各不安定の臨界レイノルズ数を実験的に決定するために,点源から人工撹乱を導入した.点源近傍では2つの不安定モードが前縁と平行な方向に十分に分散しないために,振幅や位相分布に変調が観察された.このモード間の干渉は単なる波動の線形的な重ね合わせあることを仮定して,各モードの振幅や位相分布を分離する手法を提案した.その結果,以下のような新たな知見が得られた.

1) 点源近傍で観察される3つ以上のピークを持つ振幅分布は,2種類のモードの線形的な重ね合わせによって記述できることが確認された.

2)提案した分離手法によって,これまで判別が不可能だった各モードの振幅と位相分布を分離することができた.最大振幅領域においては,十分高い精度が得られた.

3) 提案した分離手法をR Q= 0.26×106の条件で幾つかのθ断面で実施したところ,各不安定波の位相速度や波数ベクトル等の諸特性を明らかにすることができた.

4)撹乱の増幅特性から,臨界レイノルズ数を決定することが可能となった.