1. はじめに |
ミルククラウンは,非常に魅力的な現象で,液跳ねや表面張力波とあわせ, 数多くの研究が行われてきた.これらの研究は,Worthington (1908) の液滴の跳ね返りに関する研究に遡り, これまでに様々な現象が明らかになっている. この現象の撮影は容易ではなく,これまで様々な方法が取られてきた.Edgerton (1987) は,ストロボ写真の技術を用いて, ミルククラウンの映像をとらえた. この方法では,瞬間をとらえる事はできても,連続的な映像を得る事はできない. Yalin and Weiss(1995)は,CCDカメラでとらえた映像を, コンピューターを通して画像化した.最近では,デジタル高速度カメラも市販されているので,そのようなカメラを使用すれば,系統的かつ定量的な実験も,比較的容易に行えると思われるが,高価で誰でも簡単に入手できるわけではない. そのため,粘性,流体層の深さといったパラメータを変えるような, 系統的な研究は 少ない.しかも,これらは,GDIエンジンやインクジェットプリンタなど,工学的に応用するために,特殊なスケールを対象としているものが多く,伝統的に「ミルククラウン」と呼ばれてきた現象のスケールを対象とした研究は非常に少ない. そこで我々は,安価な民生用デジタルビデオカメラを用いて,「伝統的な」スケールにおける,系統的な実験を試みた. さらに,得られた画像の座標値を読み取る事により解析を行い,結果を検証した. |