ミルククラウンに関する研究郡司博史(京大理)・石井秀樹(東大新領域)・斉藤亜矢(京大医)・酒井敏(京大人環) |
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液滴を薄い流体層に衝突させると,王冠状の構造(ミルククラウン)を形成する. このような現象では,運動はほとんど表面張力によって支配され,時間スケールが非常に短い. そのため,この現象を連続的に記録するには,高速度カメラなどの高価な機材が必要となり, 液滴の衝突速度などのパラメータを変えるような系統的な研究は,ほとんど行われてこなかった. そこで我々は,安価な民生用デジタルビデオカメラで記録する方法を考え,この方法で系統的な実験を行い, クラウンの直径及び高さに注目して,得られた画像の解析を行った. クラウンの直径は,液滴が衝突してからの経過時間の1/4乗に比例していることがわかった. これまで提唱されてきたような,直径が経過時間の1/2乗に比例した領域は,クラウン崩壊後の痕跡のみにしか見られなかった. このことは,クラウンは崩壊しながら表面張力波に変わることを意味するものと考えられる. クラウンの高さに注目すると,クラウンの高さが増加するのにかかる時間に比べ,減少するのにかかる時間の方が大きいことがわかった. この非対称性は,クラウン上部の流体の質量変化と表面張力を考慮した簡略化したモデルを考えることにより, 十分再現することができた. |
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