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1 軸対称振動($ m=0$)と非軸対称振動($ m=2$)との組合せ

次に,選んだモードそれぞれに振幅を与える. 振幅は式(32)の$ A^2$$ B^2$$ C^2$$ D^2$, 式(33)の$ A^0$$ C^0$で指定する. この選び方は表3のようにした.

表 3: 振幅の与え方
  振幅($ m=0$) 振幅($ m=2$)
識別 $ A^{0}$ $ C^{0}$ $ A^{2}$ $ B^{2}$ $ C^{2}$ $ D^{2}$
I 1 0.05 0 0.1 0 0 0
I 2 0.1 0 0.1 0 0 0
I 3 0.1 0 0.05 0 0 0
               
II 4 0.05 0 0.1 0.1 0 0
II 5 0.1 0 0.1 0.1 0 0
II 6 0.1 0 0.05 0.05 0 0
               
III 7 0.05 0 0.1 0 0.1 0
III 8 0.1 0 0.1 0 0.1 0
III 9 0.1 0 0.05 0 0.05 0
               
IV 10 0.05 0 0.1 0.1 0.1 0
IV 11 0.1 0 0.1 0.1 0.1 0
IV 12 0.1 0 0.05 0.05 0.05 0
               
V 13 0.05 0 0.1 0.1 0.1 0.1
V 14 0.1 0 0.1 0.1 0.1 0.1
V 15 0.1 0 0.05 0.05 0.05 0.05


軸対称振動と同時に発生し得る非軸対称振動との 固有振動数の比がほぼ1:1になる場合について液滴内部の混合を調べた. そのような組み合わせは,$ (m,n)$ $ (0,2)+(2,2)$, $ (0,4)+(2,4)$, $ (0,6)+(2,6)$, $ (0,8)+(2,8)$などである. これらに様々な振幅を与えることによって流体粒子の軌跡を観察した. その結果を表4に示す.

表 4: 軸対称的に加振したときの流体粒子の軌跡.
  励起したモード
振幅の与え方 $ (0,2)+(2,2)$ $ (0,4)+(2,4)$ $ (0,6)+(2,6)$ $ (0,8)+(2,8)$
I 2 2 2 2
II 1 3 3 3
III 2 2 2 2
IV 2 2 2 2
V 1 3 3 3


図 8: 流体粒子の軌跡(軸対称振動$ m=0$と非軸対称振動$ m=2$を励起した場合). 励起したモード: $ (m,n)=(0,4)+(2,4)$, 振幅の与え方:III-7, 軌跡2.
\includegraphics[width=0.3\textwidth]{eps/n47new.eps} \includegraphics[width=0.3\textwidth]{eps/n47sidenew.eps} \includegraphics[width=0.3\textwidth]{eps/n47topnew.eps}
動画: 流体粒子の時間変化, 対応する実験.

図 9: 流体粒子の軌跡(軸対称振動と非軸対称振動を励起した場合). 励起したモード: $ (m,n)=(0,6)+(2,6)$, 振幅の与え方:III-7, 軌跡2.
\includegraphics[width=0.3\textwidth]{eps/n67new.eps} \includegraphics[width=0.3\textwidth]{eps/n67sidenew.eps} \includegraphics[width=0.3\textwidth]{eps/n67topnew.eps}
動画: 流体粒子の時間変化, 対応する実験

図 10: 流体粒子の軌跡(軸対称振動と非軸対称振動を励起した場合). 励起したモード: $ (m,n)=(0,6)+(2,6)$, 振幅の与え方:V-15, 軌跡4.
\includegraphics[width=0.3\textwidth]{eps/n615.eps} \includegraphics[width=0.3\textwidth]{eps/n615sidenew.eps} \includegraphics[width=0.3\textwidth]{eps/n615top.eps}
動画: 流体粒子の時間変化, 対応する実験.

軸対称振動と非軸対称振動を組み合せると, 流体粒子は回転運動をする場合(実験タイプ2, 図3-2)と 4重渦の軌道(実験タイプ3, 図3-3)とに分けられる. 4重渦の軌道(軌跡3,図3)を再現したとき(振幅の与え方II, V), 振幅$ A^{2}$$ B^2$, $ C^2$,と$ D^2$は同じ値になっている. 一方,回転運動を示す場合には 振幅$ A^{2}$$ B^2$,または $ C^2$,と$ D^2$の組が異なる値を取る (振幅の与え方I, III, IV). いずれの軌跡を描く場合でも, 液滴の中心付近や液滴の下部では粒子の動きは鈍く, 流体粒子の目立った移動は観察できなかった.


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鈴木, 高橋, 宮嵜, 青山