TI2006 では
最大不安定モードの解釈がなされているが,
それ以外の不安定モードや中立モード, 連続モードに関する調査は
不十分なままとなっている.
以下の問題が残されている.
- TI2006 の結果では,
赤道ケルビン波モード, 慣性重力波モード,
混合ロスビー重力波モードは現れているが,
赤道ロスビー波モード
(Matsuno, 1966)
は見出すことができない.
この問題に関して, TI2006 は,
赤道ロスビー波モードが連続モードに同化したと議論している.
しかし,
彼らはそのような同化が起きている連続モードの構造を具体的に示していない.
- 東西対称な不安定モードのうち,
いわゆる慣性不安定モードに対応する最低次のモードしか考察されていない.
高次の東西対称不安定モードをもたらす中立波の共鳴の組合せは,
明らかにされていない.
- TI2006 が示した分散曲線図では,
近接する分散曲線が交差を起こす中立モードが存在していた
(表 1 の (c)図にもこのようなモードが現れている).
これらの交差を起こす中立モードの性質は明らかにされていない.
- TI2006 の分散曲線図では,
赤道ケルビン波モードと西進混合ロスビー重力波モードが共鳴を起こす際の両者の分散曲線の振る舞いが不明瞭である.
彼らの分散曲線図では,
両モードの分散曲線が連続モードの分散曲線に埋もれてしまっているからである.
本論文では, TI2006 がやり残したこれらの問題に
対して考察を行い, TI2006 が得たモードの全てについて
解釈を与えることを目的とする.
以下の節では, 上記の問題を 1 づつ考えていく.
2 節では基礎方程式を記述し,
3 節から6 節では, それぞれの問題に関する具体的な記述を行い,
それに対する考察結果を示す.
7 節はまとめである.