2. 方程式と解法

使用する方程式は, TI2006 と同じプリミティブ系における水平構造方程式に β平面近似を施したものである. 散逸は考えない. 東西方向に無限に伸びる赤道域水路を考える. 南北境界において南北流速を 0 とする. 東西方向に x 軸をとり, 南北方向に y 軸をとる. y 軸は, y=0 が赤道となるようにとる. Dunkerton (1993) と同様に 水平方向に調和展開し, 線形シアー流に対する摂動を考えると 無次元方程式は以下のようになる.

ここで, , , , , はそれぞれ基本場の流速, 擾乱の東西速度, 南北速度, ジオポテンシャルである. 南北速度 は, , に対して位相を90度ずらして定義してある. , はそれぞれ東西波数, 複素振動数である. 無次元化は, 長さスケール , (慣性不安定領域の緯度幅), 時間スケール , 速度スケール , ジオポテンシャルスケール で行った. ただし, ( はコリオリパラメータ ), である. 無次元パラメータは, である. ここで , は, それぞれ重力加速度, 等価深度である.

本論で用いる基本場は線形シアー流である. TI2006 と同様に

を用いる(図1). この基本場では, 慣性不安定領域は 0 ≤ y ≤ 1 (図1の赤斜線領域)となる. TI2006 と同様に, 主に -2 ≤ y ≤ 3 の計算領域を考える. 5 節, 6 節では, 段階的に北側もしくは南側へ計算領域を広げていく場合も考える.

南北方向に方程式系 (1)-(3) を差分化し, 固有値計算を行い不安定 モードを求めた. 南北方向の格子点間隔は 0.078125 である. 擾乱の東西波数として 0.00 ≤ k ≤ 1.00 の範囲を考えた. 計算に用いた E の範囲は, -2.50 ≤ log E ≤ 7.50 である.

図1: 基本場東西風の南北分布. 横軸は流速 , 縦軸は無次元緯度 y である. 影を付けた緯度帯は, 慣性不安定領域を示す (拡大図).

2. 方程式と解法