C. モデルの詳細

3 次元灰色大気構造の太陽定数依存性と暴走温室状態 C.f. 上層減衰層 D.a. 平衡状態:対流圏の子午面構造

g. 鉛直フィルター

上層減衰層に加えて鉛直フィルターを導入する. u, v については Shapiro (1972) のフィルターを用いる. しかし, これをそのまま温度にも適用してしまうと, フィルターによる平滑化 の過程で全球平均にして約 150 W/m2 のエネルギーが抜けてしまう.

温度については以下のフィルターをかけることにした. まず, リファレンスとなる状態を決める. これは半整数グリッドの値 tex2html_wrap_inline6948 の値を用いて
\begin{displaymath}
T_{B,k} = \frac{T_{k+\frac{1}{2}} + T_{k-\frac{1}{2}}}{2}\end{displaymath}
とする. 温度の場合, tex2html_wrap_inline6948 はモデルの中で計算されている のでこれをそのまま用いる. 平滑化はこのリファレンス状態に近付けるように行なう. k=2 から順番に
eqnarray1488
という調節を行ない, 順番に k=31 まで行なう. ここで, tex2html_wrap_inline6956 はフィルターによる調節を行なう前の温度の値を表す. tex2html_wrap_inline6958 はフィルターの強度を表す係数である. 各式の第 3 項は, それぞれのレベルにおいて, リファレンス値に 近付けた時に生じる内部エネルギーの抜けを 3 層に均等にばらまいたものである.

計算においては, 温度についてのフィルターの係数の値は 0.1 とした. tex2html_wrap_inline6960 W/m2 の場合に水平風についてのフィルターも導入し, 係数の値は 0.2 とした. 実際の 3 次元計算においてこれらのフィルターによる変化量はエネルギー的 には小さく, エネルギー収支には影響を及ぼしていない.


C.g. 鉛直フィルター 3 次元灰色大気構造の太陽定数依存性と暴走温室状態 C.f. 上層減衰層 D.a. 平衡状態:対流圏の子午面構造