g. 鉛直フィルター
上層減衰層に加えて鉛直フィルターを導入する. u, v については Shapiro (1972) のフィルターを用いる. しかし, これをそのまま温度にも適用してしまうと, フィルターによる平滑化 の過程で全球平均にして約 150 W/m2 のエネルギーが抜けてしまう.
温度については以下のフィルターをかけることにした. まず, リファレンスとなる状態を決める. これは半整数グリッドの値 の値を用いて
とする. 温度の場合, はモデルの中で計算されている のでこれをそのまま用いる. 平滑化はこのリファレンス状態に近付けるように行なう. k=2 から順番に
という調節を行ない, 順番に k=31 まで行なう. ここで, はフィルターによる調節を行なう前の温度の値を表す. はフィルターの強度を表す係数である. 各式の第 3 項は, それぞれのレベルにおいて, リファレンス値に 近付けた時に生じる内部エネルギーの抜けを 3 層に均等にばらまいたものである.計算においては, 温度についてのフィルターの係数の値は 0.1 とした. W/m2 の場合に水平風についてのフィルターも導入し, 係数の値は 0.2 とした. 実際の 3 次元計算においてこれらのフィルターによる変化量はエネルギー的 には小さく, エネルギー収支には影響を及ぼしていない.