熱的な暴走状態が発生する太陽定数の値を見極めるために,
全ての実験における全球平均入射放射と全球平均 OLR
をプロットしたものを図 1 に示す. この図で示したOLR
の全球平均値は 実験 S1600 の場合 (入射放射全球平均値が 400 W/m2
の場合)を除いて 950 日から 1000 日までを時間平均したものである.
実験 S1600 の場合だけは, 1950 日から 2000
日までの時間平均値を示してある. 太陽定数が 1570 W/m2 (入射放射全球平均値が
392.5 W/m2) 以下の場合では OLR
はほぼ入射放射量と等しくなり系は平衡状態に達している.
それに対して, 太陽定数が 1600 W/m2 (入射放射全球平均値が400
W/m2)以上になると OLR は350 W/m2 以下になる. 実験
S1600, S1700 においても実験 S1800 と同様に OLR は時間とともに減少し,
表面温度は時間とともに増加する(図は示さない). S≧1600W/m2のいずれの場合でも
系は平衡状態に達することはできずに熱的な暴走状態が発生する.
したがって, 3
次元系において暴走温室状態が発生する 太陽定数の値(暴走限界)は
1600W/m2 弱である. |
図 1: 入射太陽放射全球平均値に対する OLR 全球平均値.
単位は W/m2. 青点は平衡状態に達した場合の結果を,
赤点は熱的な暴走状態が発生した場合の結果を示す. S≧1600W/m2の場合に
は平衡状態に達することができないので, これらの場合に対応する
値自体にはさほど意味は無いことに注意されたい.
時間が経過すれば OLR の値は更に減少するはずである. したがって,
暴走限界の値がより明瞭となるよう, 実験 S1600 については 2000
日の段階の値を示してある.
この図でそれぞれの実験に対応する赤点や青点をクリック
すると各実験の結果の図(付録 G)を見ることができる。 |