c. 平衡状態の変化(循環形態)
以下では, 太陽定数が増大した場合における大気構造の変化を概観する. まず, 平衡状態が得られる場合について論じる.
大気の熱的構造および循環構造に関して 図 1 を示しておく. この図は, 平衡状態が得られた場合の温度の子午面分布と 質量流線関数を示したものである. この図から以下のことが読み取れる.
- 太陽定数が増加すると温度は全球的に上昇する.
温度の上昇は, 水蒸気量が増大し大気が光学的に 厚くなることによってもたらされる (水蒸気分布に関しては比湿分布, 相対湿度分布の図を参照のこと) . 水蒸気量の増大に伴い大気の全量も少しづつ増加していく. これらの変化の詳細に関しては, 平衡状態の全球平均量 を参照されたい.- 太陽定数が増加しても循環構造の基本パターンは変わらない.
どの場合においても低緯度のハドレー循環・高緯度の間接循環 が存在している. ただし, 太陽定数が増加するにしたがいハドレー循環の背は 高くなる. 対応して, 対流圏界面や亜熱帯ジェットの位置は変化する. これらに関しては, 温度分布・質量流線関数(対流圏), 温度分布・質量流線関数(上層), 凝結加熱分布, 東西風分布(対流圏) 東西風分布(上層) を参照されたい.図 1: 平衡状態の温度子午面分布(K)と質量流線関数(Kg/sec). 実験 S1200, S1380, S1500, S1550, S1570 の結果を 示してある.
以下は上で参照されたもののリストである.これらは付録 E の一部である.